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個別記事の管理2016-02-12 (Fri)
lead8-9 ミリアル・スマイル

一応友人である男は、どこか元気のない様子だった。
「昨夜あなたはいつごろ部屋へお戻りに?」
「シャルロット君が戻ったそのちょっと後に……はっきりとした時刻は覚えていませんが……仕事が残っていたので、それを片づけるために食事の後、わりとすぐに戻りましたね。」
「お一人で?」
「あー……はい。一人です。彼女にはマリーがついているので大丈夫かと。結局彼女もすぐに戻ってきましたけどね。」
婚約者のことなのに、よそよそしく感じる。
「そこからはお二人とも部屋に?」
「はい。仕事を片づけてからベッドに入ったんですけれども……」
「……けれども?」
「かなり吹雪いていたでしょう?その音が気になって、僕も彼女もなかなか眠れなかったんです。」
今でも外では風が吹き荒れ、窓をガタガタと揺らしている。
彼らは疲れていたのですぐに眠ってしまったが、言われてみれば気になるような気もした。
「仕方なくベッドの中で雑談をしていたんです。そしたら、物音がして……」
「物音?」
「はい……明らかにこの窓が揺れるような音ではなかったかと……何か、物が落ちるような……聞こえませんでしたか?」
三人は首を横に振る。
おかしいなぁ。と、ミリアルは腕を組んだ。
「それはいつ頃のことですか?」
「わかりません……。夜中だという認識はありましたけど、暗闇の中では時計も見えませんし……」
とても重要な証言だとは思うが、曖昧であるのが残念だ。
ここでノーランはあることを思い出した。
「スマイルさん。そういえばあなた……被害者に話しかけられていませんでしたか?」
シャルロットも、警部も、ミリアル本人も、思い出す。
この場にいる者たち全員が目撃していた。
「そうですね……僕のことを知っているようでした。もちろん僕は彼のことを知りません。疑うならどうぞ疑ってください。」
若干開き直っている態度だった。
これ以上は掘り下げようのない話だ。
「……スマイルさんも人目を避けて、こちらへ?」
「……嫌な言い方をしますね……まぁ、そうですが……」
「やはり婚約者の存在を明るみに出したくないから?」
「……。」
ミリアルは冷たい目でノーランを見る。
「先程彼女は病弱だとおっしゃっていませんでしたか?なのにどうして、こんな寒い所へ。」
「家に一人置いておく方が心配だったからです。それに誰がこんな大雪に見舞われると思いますか?というかこの話、事件に関係あります?」
イライラし始めたミリアルに、今度はシャルロットが手を挙げた。
「俺も質問。」
「……何でしょうか。」
「気になってたんだけど、何で指輪してねぇの?」
「……はい?」
彼が何を言っているのかわからなかった。
「指輪だよ。ゆ・び・わ。婚約指輪。」
途端にミリアルの顔は真っ青になった。
「本当に婚約しているのか?」
シャルロットにそんなことを言われるとは思ってもみなかったので、裏切られた気分になる。
「し……してるよ……」
「じゃあなんでお前も彼女も指輪してないわけ。」
どうして自分は事件と関係のないことで追いつめられているのだろう。
それも、友人から。
「……そんなの……決まってるじゃないか……」
もう腹をくくるしかない。
「下手に騒がれたら困るからだよ!いくら人目の少ない所とはいえ、誰がどこで何を見ているかわからない。現にあの亡くなった彼も僕のことを知っていた。彼女のためにも僕のためにも!ちょっと外しているだけだよ!僕が望んでいるのは平穏だ!!」
「ふーん。じゃあ、あるんだな?」
「あるよ!あるに決まっている!部屋に置いてあるよ!持って来ればいいんだろう!?持って来れば!」
「何でお前キレてんの?」
「君のせいだよ!!」
ついカッとなって、立ち上がってしまった。
我に返ったミリアルは、大きなため息をついて座る。
「もういいですか……」
「は……はい……結構です……」
そう言うしかなかった。
「僕の後は彼女にも話を?」
「そのつもりですが。」
「あの……僕かマリーのどちらかでいいんで……付き添わせていただけませんか……彼女、酷く衰弱していて……」
ノーランは警部の方を見る。
警部は小さく頷いた。
「構いませんよ。」
「ありがとうございます……」
入って来たときよりもさらに元気をなくして、ミリアルは出て行く。
ノーランも後に続いて行く。
皆が集まる談話室へ行き、ミリアルは「あれっ?」と、声をあげた。
リンの姿がない。
「だ、旦那様!」
「マリー……リン……はどうしたんだい?」
いつものように名前を言いかけたせいで、妙な間があいてしまった。
「あの、その……体調がよろしくないようで……お部屋に……」
「ええっ!?刑事さん、彼女は後回しにしてもらってもいいですか?」
後ろにいたノーランに、彼は言った。
「わかりました。では……」
目の前にいるマリーを、と思ったが。
「おーい、ノーラン刑事。ちょっと来てくれ。」
なぜかシャルロットに呼ばれたので、急いで戻る。
「どうかしましたか?」
「オッサンとも言っていたんだけど、一旦休憩にしねぇか?時間もホラ、昼だし。」
時計の指さし、彼は言った。
あ、本当だ。と、ノーランはつぶやく。
「お取り込み中すみません……」
そこへ、エリオット・ベックがやって来る。
「そろそろ昼食の時間にしたいのですが……」
「ちょうどその話をしていたんだ。そうしようぜ。な?」
「そうですね……」
タイミング的にもキリがいいので、一旦事情聴取は停止となった。


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