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個別記事の管理2016-12-20 (Tue)
12話

夜だというのに、やけに明るかった。
電灯のせいではない。
月の明かりが電灯以上に輝きを放っていたからだ。
明るいことをいいことに、部屋の電気を消し、ベッドに寝そべってスマホをいじっていた。
ローカルニュースではあるが、狗山町長が所持しているよくわからない髪飾りとやらは、結構な注目を集めているようだった。
「これ高いのかな……」
ボソッと独り言をつぶやいたときだった。
こんな暑い夏の夜だというのに、風が室内に吹き込んできた。
カーテンがパタパタと揺れる。
「そんなことはない。どうせ偽物だ」
「!?」
どこからか聞こえてきた声に、慌てて起き上がる。
「り……凜王!?」
窓から、如月凜王が侵入してきたのだった。

「ちょっ……お前何やってんだ!? ここ、二階だぞ!?」
「だから何だ。というかお前、ヤンキーのくせにこんな立派な家に住んでいるのか」
俺が焦っていると、例の喋る黒猫も部屋の中へと入り込んできた。
「……一軒家で悪かったな」
マンションだと思ったか。
この野郎。
「つーか……何で窓から……普通に玄関から入ってこいよ……」
「こんな時間に同級生の自宅を訪問っておかしくないか」
「同級生の自宅に窓から不法侵入の方がよっぽどおかしいだろ」
泥棒か。
あ、怪盗だったな。
「それで。何の用だ……」
「記念すべき初の獲物にどうかと思ってな」
「は?」
早速俺に盗めってか。
また急な……
「その話……わざわざ不法侵入してまですることか?」
「クローバーが急かすから」
「猫め……」
俺は人の部屋でくつろぐ、猫をにらみつけた。
「何で俺様のせいなんだ!」
猫は不満気な声を上げた。
「それで、獲物って?」
「狗山」
「は?」
狗山って学級委員長のか?
狗山を盗む?
……いや、違う。
「まさか、髪飾り?」
さっきまでテレビやネットで見ていたあれか!
「そういやお前、入ってくるとき偽物っつってたよな? 狗山の親父が持っているっつーあれは、偽物なのか?」
「残念ながら」
何てことだ。こんなにも話題になっているというのに。
「え? じゃあ本物は?」
「そんな物はない」
「え、そ、それって……」
「妖精の髪飾りなんて物自体が偽物。ただのガラクタだ」
「……。」
だったら狗山の親父は、ニュースを見た人々は、

ガラクタのあれにどういう価値を見出しているんだ?

「どこぞの誰かが、あれは大変価値のある物です。世界で所持しているのはあなただけです。なんて吹き込んだんだろうなぁ」
部屋においてあるクッションの上に座っている猫が、尻尾を揺らしながら言った。
「何のために……?」
「さぁ? そんなことは俺様にはどうでもいいさ」
そうだ。
こいつは、醜い感情とやらを餌にしているんだった。
「つまり……髪飾りの持ち主、狗山の親父はが何かしら醜い感情を抱いているってことか?」
「ああ、そうだ。俺様が喰らってやるのさ」
勝手に喰えばいいけどさ。
俺は納得いかねぇんだよ。
だって狗山町長って、町の人間からすげぇ支持されてるじゃん。
あの人が町長になってから、町の情勢が安定しているとか言われているほどだしさ。
富や名声よりも、この町や住んでいる人のことを一番に考えているって……
こんな俺でもわかってるのによ。
それに、あの狗山の父親だぞ?
一体何を根拠にそんなことを言ってるんだ、この猫は。
……というのを、一人と一匹に俺は言った。
「全く……これだからヤンキーは」
いや、ヤンキー関係ねぇし!
「俺様の目は間違いない! テレビに映ったあの男の姿を見て、とてつもなく深い欲を感じた! きっと美味いに決まっている!」
どうしても、この猫の言っていることが受け入れられなくて、何を言っているんだこいつは。という顔でしか見ることができなかった。
「色々と調べる必要はありそうだな」
ここでようやく凜王が言葉を発した。
「調べるって……町長を?」
「まずは手っ取り早いところからだな。同じクラスにちょうどいるじゃないか」
「まさか、狗山に?」
息子を問い詰めたところで、何かつかめるだろうか。
「お前、あいつのことを心配していただろう」
「心配ってわけじゃあ……。でも、あいつのことと何か関係あるのか?」
「さぁ? だから調べるんじゃないか」
「調べるっつってもな……」
何をどう調べるというのか。
人にはお節介なやつだが、きっと自分のこととなると、話さないに決まっている。
ましてや、父親のことなど。
……いや、待てよ。
俺はひらめいた。
当てがないわけではないことに、気がついたのだった。
「俺に……任せろ」
新参者の俺が、なぜだか先陣を切ったのだった。


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Theme : 自作小説 * Genre : 小説・文学 * Category : 黒猫は今日も偽物を喰らう
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