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個別記事の管理2017-01-04 (Wed)


何かと思えば、私は男子バド部の部室に呼び出されたのだった。
行ってみると、先輩はもちろん、男子バド部部員が全員集合していた。
みんな、神妙な顔つきだった。
「……これは?」
「佐渡が俺らのことを喋ったらしい」
先輩が私の質問に答えると、佐渡さんが「だって」と、口を尖らせた。
「そもそも隠れてコソコソやる方が悪いんだけどな」
「俺のせいかよ!?」
先輩の隣に立っている新島さんが、すかさず声を上げた。
三年生にも容赦ないな……
「でも、悪かったよ。みんなに黙ってコソコソして」
しかし、後ろめたい気持ちはあったようで、彼は項垂れた。
「で、誰が犯人なのかわかったのか?」
部員の一人が声を上げた。
新島さんが先輩の顔を見る、
先輩はゆっくりと首を横に振った。
「なんだ」と、みんなガッカリした様子だった。
……キャプテンやマネージャーを入れて、部員は二十名弱。
中には明らかに体の小さい子もいるのは、天の川学園中等部の生徒もいるからだろう。
こうやって人数の少ない部は、中等部と一緒に活動することが天の川学園ではあるそうだ。
いくら人数が少なく、的が絞られているとはいえ。
この中から犯人を捜すのはなかなか手間ではないだろうか。
「……羽山さんが一番怪しいんじゃねぇの?」
考えをめぐらせていると、誰かがそんなふうに言ったのだった。
一斉に、マネージャーの羽山さんに視線が集まる。
羽山さんは、なぜ自分の名が挙げられるのかわからない、という顔をしている。
「誰だ、今喋ったやつ」
バン! と、新島さんがロッカーの扉を叩いた。
「キャプテン、こいつです」
身長が低めな男子が、体格の良い男子に締め上げられていた、
「だ、だって!」
宙に浮いた足をバタバタさせながら、彼は必死に言い訳をする。
「俺らの中で部室で一人になれるのは、羽山さんだけだろ!?」
「だからって、羽山さんが犯人かよ」
体格の良い男子が、淡々とした口調で言う。
「い、今キャプテンとダブルス組んでるの、佐渡さんだろ。本当だったら、羽山さんが」羽山さん?
どうして女子の羽山さんが、ダブルスのペアのことで……?
「……それで、私が佐渡君を妬んでいると言いたいの」
静かだけど、その声は震えていた。
「ち、ちがっ……そんなつもりじゃっ……」
「私の存在はそういう風に見えるのね」
うつむいて、彼女は部屋を飛び出していった。
「明日香っ!」
「羽山!」
すぐその後を新島さんが追って行った。
明日香って……羽山さんの下の名前……?
「はぁ……もう、何でこんなことになるのやら……」
副キャプテンの庄野さんが頭を抱える。
「おい、河智。もう離してやれ」
そして、彼は体格の良い男子にそう命じた。
宙ぶらりんになっていた男子が、ドサッと床に落とされる。
ゴホゴホと、彼は咳き込んだ。
「すみません。今のはどういうことですか」
先輩が庄野さんに尋ねる。
「えーと……まずは何から話せばいい?」
「そうですね……。羽山さんが部室で一人になれることが多い理由から」
「ああ、それはだな……」
皆を代表して、庄野さんが教えてくれた。
「俺らが先に練習に行ってから、あいつはここでジャージに着替えてるんだよ。部室の鍵の管理も、大体あいつがしている」
「普通に更衣室を使えばいいのでは?」
体育の際に使用する更衣室なら、いつでも開いている。
施錠は特に行われていない。
「そうなんだけどな……結局荷物をここへ持て来なければいけないし、それが面倒でいつの間にか同じ部室で着替えるようになったんだよな……。そもそもは女子バド部の部室を借りていたけど、それもあいつ自身が気まずくなってやめちゃったし……」
確かに、同じバド部といえども、男子と女子では全く別だろうか、気まずいと思うのは仕方ないだろうけど……
「……どうして女子バド部の部室なんですか」
えっ!?
先輩、ここでそんなこと聞く?
単に同じバド部同士、部室を間借りしていただけ……
って、みんなの顔が……何だか真剣……?
わ、私が思っているのと違う理由が……?
「……羽山は、元々マネージャではなくて、れっきとした選手だったんだ」
つまり……女子バド部の人だったってこと……?
「けど、羽山の場合ちょっと特殊で……女子バド部に籍は置いているんだけど、うちのキャプテンダブルスを組んでたんだよ」
私は首を傾げた。
「へぇ、そんなことあるんだ」と、先輩は感心しているけれど、私には何が何やらさっぱりだ。
私があまりにもわからないという顔をしていたのがわかったのか、庄野さんが教えてくれた。
「ミックスダブルスってわかる? テニスなんかでもあるんだけどさ。男女でペアを組んで試合すんの」
あ。テレビで見たことあるような気がする……
「それで二人はペアを組んでるってことですか?」
「そう。中学のときからな。学生では珍しいから、あんまり理解してもらえないんだけどさ……」
庄野さんは、少し悲しそうな顔をした。
何でだろう。
別に悪いことをしているわけじゃないのに……
「それで。新島さんのペアだった羽山さんが、なぜマネージャーに」
「腰を痛めたんだ。高校に入ってから。自身の将来のことも考えて、バドミントンは控えるように医者から言われ、そのまま辞めてしまったんだ。でも、新島に対する罪悪感が残っているみたいで、男子バド部のマネージャーになったんだよ」
そういう経緯があったんだね……
羽山さん……辛かっただろうな……
私は、彼女が飛び出していった扉をもう一度見た。
何のタイミングか、その扉がガラッと開いたので、驚いた。
「羽山……!」
入ってきたのは、羽山さん一人だけだった。
「……庄野君の言う通り、罪悪感はあった。試合も近かったのに……私がこんなことになってしまって。だから、女子バド部じゃなくて、新島のいる男子バド部を選んだ。せめて、サポートだけでもしてあげたかったから。あと、これだけはわかってほしい」
部員達を見渡し、彼女は言った。
「選手に戻れるのなら、もちろん戻りたい。今、新島のペアである佐渡君のことが羨ましくないのかと言えば、それは嘘になる。だからって、彼のラケットを折るような卑怯な真似……私はしない」
そっか……
今は佐渡さんと新島さんがペアを組んでいるのか。
それで、元ペアだった羽山さんが動機的にも疑われたわけだ。
ようやく合点がいった気がする。
「羽山さん……あの……すみませんでしたッ!」
先程の、彼女を疑った小さい男の子が前に出てきて、勢いよく頭を下げた。
彼だって、羽山さんが犯人でないことくらい、わかっていただろう。
「いいの。気にしないで」
羽山さんは、優しく微笑んだのだった。
「庄野ーっ! 明日香が見つからない! みんなで手分けして……って、アレ?」
新島さんが半泣き顔で部室に入ってきたが、羽山さんの姿を見てポカンとする。
「あ、ゴメン。ひとっ走りしたら落ち着いちゃって、先に……」
「よかったぁぁぁ!」
「!?」
羽山さんの言葉を遮り、新島さんは彼女に抱きついた。
「ちょっ……新島!?」
「俺、怖かったんだ。またお前が、あのときみたいに落ち込んでどこかへ行ってしまったんじゃないかって!」
羽山さんは赤面しているが、気づかずに新島さんは続ける。
「あんまり俺を心配させるなよぉ!」
「ご、ごめん……あの、ちょっと、離してほしいんだけど」
「え? あ、ごめん……」
ようやく気がついたようで、慌てて羽山さんから離れた。
「その……犯人のことだけど……」
「ありがとう。心配しなくていいよ。私じゃないっていうのはちゃんと言ったし。北村君も謝ってくれたから。彼を責めないであげて」
「そ、そうか」
ホッとしたような表情になる新島さん。
相当怒っていたもんね……
「新島……ごめんね。私がマネージャーをやりたいなんて言って、バドミントンへの未練を断ち切れなかったから……」
「どうしてお前が謝るんだ! それとこれは話が違うだろう!?」
「わかってる……けど……やっぱり私が原因なような気がして……」
「根拠もないのに、そんなことを言うな! お前はもっと前向きになれよ!」
すると、新島さんは何を思ったのか、羽山さんの両手をガシッと握った。
「大丈夫! 何があっても、今度は絶対俺がお前を守ってやる!」
お……おお……
少女漫画に出てくるイケメンみたいなことを仰っている……
「え……えっと……何でそこまで……?」
羽山さんは困惑している。
「――好きだ! 明日香!!」
「……へっ?」
突然の告白に、羽山さんだけでなく、私たちも呆気にとられた。
「お前は大事なパートナーだし、頼れる仲間だけど……違うんだ! 俺とつきあってください!!」
キャプテンが部員全員の前で告白……
ものすごく勇気のいることだ。
庄野さんは頭を抱えているけど。
というか私たち、ここにいていいの?
「……こんな所でふざけるなとか、色々言いたいけど……よ、喜んで……」
真っ赤になった羽山さんが、消え入りそうな声で応えた、
えー!
つまり、これって!
「おめでとー!」
「ヒューヒュー!」
みんな一斉に拍手をしたり、囃し立て始めた。
部室内は、一気にお祝いモードになる。
事件は全く解決していないというのに。
今、一組のカップルが誕生したのだった。

「なぜこんなことになった……」
部活どころではなくなった、男子バド部の部室を後にした私たち。
先輩が歩きながら、そうぼやいた。
「あのままラケット事件も忘れ去られそうですね」
「それは俺のプライドが許さない」
逆にやる気にさせてしまったようだ。
「けど、これからどうするんですか?」
「部員の中に犯人がいるという線は薄くなった。だが、羽山さんのおかげで新たな候補が浮かび上がった」
「本当ですか!?」
一体、どこでそのことに気がついたのだろう!?
私は少し、ワクワクしながら先輩を見た。
「羽山さんは、やっぱり自分が原因なような気がすると言った……それは、あながち間違いではないのかもしれない」
「……どういうことですか……?」
また、彼女を疑うことになるのだろうか。
「バド部はバド部でも、女子バド部だよ」


ミックスダブルスの件ですが。
実際高校生がしているのかどうかわかんないので、この世界では、ということにしておいてください。
テニスにしろ、バドにしろ、プロの試合は実際にありますけど……
どうなんやろなぁ~
元バド部に聞いた限りでは、なさそうでしたが……
まぁ、世界は広いですからね!
あったらいいな!

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