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個別記事の管理2017-02-17 (Fri)


今度の狙いはファンタスティック・マジカルランド。
何をどう盗むのかはわからない。
その衝撃的な発表から一週間。
何の音沙汰もないまま、テスト期間に入ってしまった。
さすがの怪盗様も、何だかんだ言って、テストの間は大人しくしているようだ。
さて、俺のテストの出来具合なんて聞きたくもないだろう。
赤点を免れりゃ何でもいい。
「よっしゃー! 解放されたぜー!」
蝉がやかましく鳴く中、俺は思いっきり伸びをした。
「凜王、もうそろそろあれから時間もたったし、動きだしてもいいじゃねぇのか?」
「そうだな……」
俺たちは並んで、正門に向かって歩いていた。
テスト期間中は、午前で学校が終わるかラッキーだ。
それに、もうすぐ夏休みだ!
ああ、なんて清々しい気分だ!
暑さとかどうでもよくなるな!
「家で作戦会議でもするか……」
凜王がそうつぶやいたときだった。
「ーーおい! 如月凜王!」
誰かが、フルネームで俺の隣にいる人間を呼んだ。
何だ……?
と、同時に振り向く。
「……? 白井……?」
そこには、同じクラスの白井が立っていた。
そしてやつは、陸上部のユニフォームを身につけていた。
これから部活なのだろう。
そんなやつが、凜王に何の用だ?
「もう一度、俺と勝負しろ!」
「は?」
本人ではなく、俺が思わずそう言ってしまった。
勝負?
もう一度?
「体育のときはよくもまぁ、俺に恥をかかせてくれたな! お前みたいなやつが俺より速いなんて、絶対にあり得ない!」
あぁ……思い出した……
そういや体育の100m走で、凜王が華麗に陸上部のエースである白井を負かしたんだっけ。
まさか、根に持っているとは……
「あのときの屈辱、晴らしてみせる!」
いつの間にか、ギャラリーも集まっており、白井ファンの女子たちの黄色い歓声も聞こえてきた。
こいつ、エースだし顔も悪くないから、女子ファンが多いんだよな……
対して我らが如月凜王は。
いつもぼっちで、ひたすら存在を消そうとしているので、冴えない地味な男子のイメージが定着している。
こいつが普段通りにしていれば、女共が黙っているわけがない……
「あーあ……何だか大変なことになっちゃっているね」
見ると、隣に狗山が立っており、俺は「わっ!」と、叫んでしまった。
そんなに驚くなよ。
狗山は笑った。
「白井ってさ、結構プライドが高いんだよね。あの体育の一件以来、ずっと気にしていてさ……」
そっか。
狗山も陸上部だっけか。
「……仕方ないな……」
凜王は諦めたのか、やれやれとため息をついた。
「勝負して気が済むなら、いくらでも走ってやるよ」
こちらを見向きもせずに、凜王は鞄を投げつけてきた。
いってぇな。
狗山の方には、眼鏡が飛んできた。
その動作があまりにも堂々としていたためか、周囲の白井ガールズは思わずハッと息を飲んだ。
あ……本気で勝ちにいくつもりだ……
しかも今、女子たちが凜王への可能性に気がついてしまった……
「で? 何m走だ? 体育のときと同じく100mか?」
「お前……そんなキャラだったのか……」
さすがの白井も驚いているようだった。
そりゃそうだろうな。
クラスの地味男子が、まさかこんなにも上から目線とはな。
誰が想像するだろうか。
「あ……ああ……そうだな。100mでいこう」
誰が指示したのか、グラウンドにはラインが引かれ、審判まで配置されていた。
ギャラリーもさらに増えている。
ちょっとした騒動になっているじゃねぇか。
「それでは。位置について! よーい」
パンッ! と、ピストルが鳴り響いた。
結果は言うまでもない。
もちろん、二人が競っている様子を描写する必要もないだろう。
だって、凜王の圧勝なのだから。
皆知らないから言えないが、この化け物じみた身体能力の持ち主に勝てるはずがない。
俺だってまだその全貌を見たことがないんだ。
「いやぁ……すごいな……」
狗山は隣で感心していた。
俺もすげぇと思うよ……本当……
「なぜだ……なぜこの俺が……」
白井は地面にひざまずき、うめいている。
一方の凜王は、疲れた様子を見せることもなく、俺たちの方へと戻ってこようとしていた。
ーーが。
「如月君すごぉーい!」
「走るの超速いんだね!?」
さっさと乗り換えた白井ガールズに囲まれた。
羨ましいな。
ちくしょうめ。
凜王は困った様子だったが、俺も狗山も助けに行こうとはしなかった。
「……モテる人はいいですなぁ……」
「全く」
棒読みでそんなことを言っていると、後ろでどさっとナニカが落ちる音がした。
何だ……?
と、思いながら振り向いて、俺はぎょっとした。
「凜王が……女子に囲まれている……?」
うちの学校よりも何倍も洒落たブレザーを身にまとった、他校の生徒が茫然と立っていた。
「え……あ……眞姫……ちゃん? 何でここに……」
朝霞眞姫。
凜王の隣人で、彼女……っぽい変人。
あれ、でも、何で。
「け……汚らわしい! 凜王から今すぐに離れろ! メス豚共め!」
「ちょっ……落ち着けって! 言葉遣い良くねぇぞ!」
俺と空気を読んだ狗山は、慌てて眞姫ちゃんを押さえにかかった。
何しでかすかわかんねぇな!
「許さん……呪ってやる……」
怖ぇな!
「ここで何してんだよ。しかも学校の中まで入ってきて……」
教師共に見つかったらまずいだろ。
「どうせなら凜王と一緒に帰ろうと、ここまで来たんだ……。そしたら何やら騒がしいから外から様子を見ていると、凜王の走っている姿が見えたから……」
それで入ってきてしまったというわけか……
「つーか……一つ聞きたいんだけど……」
「何だ……ヤンキーよ……」
ヤンキー言うなっつの。
「……制服……」
「は? 制服? はっきりと話せ」
「石槻って……スラックスしかねぇの?」
「……は?」
ポカンとした後、質問の意味を理解したのか、やつはニヤリと笑った。
「そうかそうかぁ。貴様、この俺を女子と思いこんでいたな?」
……ぐあーっ!
まさかとは思ったけど、そうだったのかぁー!
うわー!
恥ずかしっ!
俺、恥ずかしっ!
「まぁ無理もない。これまで何度もあったからな。今更貴様を咎めようとも思わんよ」
「う……ぐっ……紛らわしいんだよ!」
「何が」
「髪なんかのばしやがって!」
「凜王がこのままでいいと言うから」
「……自分のこと名前で呼びやがって!」
「ん? それは凜王の前だけだが」
知るかよ!
凜王の前でしか会ったことないっつーの!
……あぁ……もう眞姫ちゃんって呼ぶのはやめよう……
そんでもって、気を遣う必要もなくなった……
「痛いな……本当……」
「男とわかった途端、態度が豹変したな」
当たり前だろう。
凜王の彼女じゃないということもわかったし……
……ん?
ということは?
「……凜王への愛情は?」
「もちろん、それは本物だ」
ですよねー
ただし、愛情という名の執着だ。
「残念だったな。惣一郎君よ。俺が女子だったならば、フラグの一つや二つ、立ったかもしれんが生憎りへの想いは誰にも譲れんからな!」
フラグなんて立たなくていいし、惣一郎君って誰だよ。
「なぁ、井瀬屋。この人お前の友達なのか?」
置いてけぼりになっていた狗山が俺をつつく。
「友達……っつーか……」
友達って言いたくねぇな……
「眞姫……わざわざここまで来たのか……」
女子から解放された凜王が、フラフラと戻ってきた。
「凜王! さっきのはどういうことだ? やたらと女子に囲まれて……一体何をされた!?」
眞姫はあわあわしながら、凜王の乱れた髪をまた直している……
「別に何もされていない。いちいち大げさだ……。それよりお前、他校の人間なんだからむやみに入ってくるな。目立つ」
十分目立ってるってぇの。
何言ってんだ、今更。
「すまない……いてもたってもいられなくて」
「さっさと出るぞ」
凜王は俺と狗山からそれぞれ、荷物をひったくり、正門に向かって歩き出した。
後を追う眞姫。
俺は狗山に「じゃあ」と、挨拶をし、二人を追いかけた。


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Theme : 自作小説 * Genre : 小説・文学 * Category : 黒猫は今日も偽物を喰らう
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